決断力には「整理力」が必要だ。決断のための情報整理術「シナリオマッピング」のすごい効果。

筆者が書いたシナリオマッピング3

複雑で不確実な状況に直面したとき、あなたは決断を先延ばしにしていませんか?

経験不足やデータ不足により、多くのビジネスパーソンが「転職すべきか」「チームの問題をどう解決するか」といった重要な意思決定で立ち止まってしまいます。

本記事では、この「決断できない」という課題を解決する具体的な思考ツール「シナリオマッピング」を紹介します。

重要な2つの不確実要素を軸に、起こりうる未来をマッピングし、事前に対策を練ることで、あなたの決断力と対応力を高める方法を4つのステップで解説します。

シナリオマッピングを習得すれば、経験やデータがなくても複雑な問題に迅速に対処できるようになり、日々の意思決定の質が向上します。

ビジネスの成功を左右する決断力を今すぐ手に入れたい方は、ぜひ読み進めてください。

【ライタープロフィール】
澤田みのり

大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格と国際中医師の資格を取得。日々勉強を継続しており、勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。

シナリオマッピングとは?

シナリオマッピングとは、「未来に起こりうるさまざまな展開をすべて想像して思考をめぐらせ、それぞれに向けて準備を整えるのをサポートするツール」とされています。*1

シナリオマッピングの技術を活用することで、さまざまな状況への対応策を事前に用意でき、実際の局面での決断力が向上します。

たとえば転職をするかどうか考える場合、以下の様なことが想像できます。

  • 新しい環境でキャリアを築きたいが、年収が下がるかもしれない
  • 転職先での仕事や人間関係に馴染めるかどうか
  • 「前の会社のほうがよかった」と後悔しないか

選択肢が多い一方で、どんな未来が待っているのか予測できず、このままではいくら考えても答えが見えにくいものです。

このようなとき、起こりうる状況を洗い出し、それぞれに起こりうる問題を整理し対策を立てることで、悩む時間が減ってより迅速に決断できるようになるでしょう。

そのプロセスを支援するのが、今回ご紹介する「シナリオマッピング」という手法です。

Scenarioと表現されたウッドアート

シナリオマッピングの実践方法

では、シナリオマッピングの具体的なやり方を4つのステップにわけてお伝えしていきます。*1を参考にした

ステップ1:直面している問題において、最も重要な不確実性を2つ特定する

例えば、チームの生産性が低下している場合、リーダーとして「どのようなコミュニケーション方法を導入すべきかを決断しなければならない」という場面を想定して考えてみましょう。

チームの状態が不明確な状況では、最適なアプローチを判断するのが難しいものです。

このような問題に対して、チームワークに影響する最も重要な不確実要素として、「メンバー間の関係性」と「協力の度合い」という2つの軸を特定できます。

これらはチームの状態を把握する上で大きな影響力を持つ要素だと考えられるからです。

ステップ2:特定した2軸を縦と横に設定する

特定した2つの要素を配置してみましょう。

横軸には「メンバー間の関係性」を設定し、左端を「疎遠」、右端を「親密」とします。 縦軸には「協力の度合い」を設定し、下部を「非協力的」、上部を「協力的」とします。

これにより、チームの状態を4つの象限で表現できる枠組みができました。

筆者が手書きしたシナリオマッピング

ステップ3:2軸の組み合わせで4つのシナリオを作成する

この2軸によって生まれる4つの象限それぞれに、起こりうるシナリオを書き込んでいきます。各象限ごとに具体的なチーム状態を想像することで、現状把握と対策立案の基盤となります。

1

第1象限「親密×協力的」のシナリオ

チーム内の人間関係が親密で、業務の連携においても協力的な理想的な状態です。メンバー間の信頼関係が強く、互いの強みを理解し合うことで、効率的なチームワークが実現しています。意見交換も活発で、困難な状況でも支え合いながら乗り越えていくことができるでしょう。

2

第2象限「疎遠×協力的」のシナリオ

チーム内の人間関係は疎遠ですが、業務の連携においては協力的な状態です。プロフェッショナルな関係性が保たれており、個人的な交流は少ないものの、職務上の責任感と明確な役割分担によって業務は円滑に進んでいます。感情面よりも、業務の効率性や成果が重視されています。

3

第3象限「疎遠×非協力的」のシナリオ

チーム内の人間関係が疎遠で、業務の連携においても非協力的な状態です。コミュニケーション不足により情報共有が滞り、個人主義的な行動が目立ちます。チームとしての一体感がなく、業務の重複や非効率が発生しやすい環境となっています。最も改善が必要な状態といえるでしょう。

4

第4象限「親密×非協力的」のシナリオ

チーム内の人間関係は親密ですが、業務の連携においては非協力的な状態です。良好な個人関係はあるものの、業務上の体制が整っていないため、責任の所在が不明確になりがちです。和気あいあいとした雰囲気の一方で、業務の棚上げや責任の回避が起こる可能性があります。

この段階で、現在のチーム状態を分析することで、自分たちがどの象限に当てはまるかを特定できます。これにより、次のステップで立案する対策の方向性がより明確になります。どの象限にもメリットとデメリットがあるため、現状を正確に把握することが重要です。

筆者が画像化したシナリオマッピング

実際に筆者がシナリオを手書きした様子がこちら。

筆者が手書きしたシナリオマッピング

筆者が手書きしたシナリオマッピング

拡大

筆者が手書きしたシナリオマッピング

拡大

ステップ4:各シナリオに対策を書き出す

最後に、書き出したシナリオの状況が実際に起こったときにどのようなアクションをとるべきなのかを書き出していきます。

筆者が作成したシナリオマッピングの画像

実際に筆者がシナリオへの対策を手書きした様子はこちら。

筆者が手書きしたシナリオマッピング

最後に、各象限のシナリオに対する具体的な対策を考えていきましょう。それぞれの状況に合わせた最適なアプローチが、迅速な決断を可能にします。

1

第1象限「親密×協力的」への対策

すでに良好な関係性と協力体制が築かれているこの状態では、チームの自律性を高めるエンパワーメント施策が効果的です。メンバー主導のプロジェクト立案や、互いの強みを活かした役割分担の最適化で、さらなる成長を促進できます。

2

第2象限「疎遠×協力的」への対策

業務上の連携はできていても人間関係に距離がある状態では、業務外でのチームビルディング活動が有効です。ランチ会や趣味の共有などのカジュアルな交流の場を設け、徐々に関係性を深めていきましょう。

3

第3象限「疎遠×非協力的」への対策

最も課題が多いこの状態では段階的なアプローチが必要です。まず1on1ミーティングから始めて個別の信頼関係を構築し、その土台ができてから徐々にチーム全体での目標共有ワークショップへと発展させていくことが望ましいでしょう。急激な変化より、小さな成功体験の積み重ねが重要です。

4

第4象限「親密×非協力的」への対策

人間関係は良好なのに業務連携がうまくいっていない状況では、明確な役割分担と責任の再定義から始めましょう。お互いの得意分野や業務範囲を明確にし、チームとしての協力体制を構築することで、個人間の良好な関係を業務上の成果につなげられます。

このようにシナリオマッピングを通じて各状況に対する具体的な対策を事前に用意しておくことで、実際の状況に直面したときに迅速に判断し、行動に移すことができます。

つまり、「考えても答えが出ない」という停滞状態から、「様々な可能性を想定し、準備をした上での判断」へと進化させることで、決断力を高めることができるのです。

このようにシナリオマッピングを通じて各状況に対する具体的な対策を事前に用意しておくことで、実際の状況に直面したときに迅速に判断し、行動に移すことができます。

つまり、「考えても答えが出ない」という停滞状態から、「様々な可能性を想定し、準備をした上での判断」へと進化させることで、決断力を高めることができるのです。

ステップを登っていく様子

シナリオマッピングのメリット・デメリット

シナリオマッピングは、不確実な未来に備えるための有効な手法ですが、活用にはメリットとデメリットの両面があることを理解しておきましょう。

メリットとデメリットそれぞれを整理し、どのように活用すれば効果的なのかを解説します。

▼メリット▼
  • 思考を整理できる→八方塞がりに感じる状況から一歩踏み出せる実感を得られる。
  • 物事を多角的にとらえる練習になる→視野が広がり、新たな機会を見つけやすくなる。
  • 意思決定のスピードと質が向上する→書き出したシナリオが現実となったとき、事前にアクションを準備しているので、慌てず冷静に対処できるようになる。
▼デメリット▼
  • すべての可能性を網羅できるわけではない
    →どれだけ準備をしても予測できない事態は発生するもの。シナリオにとらわれすぎると柔軟に対応できない可能性がある。
  • シナリオに対するアクションが主観的になりがち
    →自分がもつ価値観によって判断するので、物事を多面的にとらえるのにも限界がある。他者の視点を取り入れることが大切。
  • シナリオが多岐にわたると実行しにくい
    →シナリオが多岐にわたると、どれに重点を置くべきか迷いが生じる可能性がある。シンプルにまとめたり、優先順位をメンバーと話し合いながら検討していく必要がある。

シナリオマッピングにはデメリットもありますが、それ以上に大きなメリットがあります。たとえ予測が外れることがあっても、シナリオを作成するプロセス自体が、物事を多面的に考える習慣を身につけるのに役立つからです。

その結果、経験もデータもない、複雑な問題にも柔軟に対応できる力が養われ、冷静に対処できるようになります。シナリオマッピングをうまく活用し、日々の意思決定の質を高めていきましょう。

カメラにほほ笑みを向けるビジネスパーソン

***

複雑な意思決定に直面したとき、私たちは「もっと情報があれば」「経験があれば」と思いがちですが、すべての状況に備えることは不可能です。

シナリオマッピングは、その不確実性を逆に活用し、起こりうる状況を先に想像して準備することで、実際の局面での判断力を高める思考ツールです。

本記事で紹介した4つのステップを通じて、あなたも複雑な問題を構造化し、対応策を事前に準備することができます。

チームリーダーとしての意思決定、キャリアの選択、新規事業の方向性など、さまざまな場面でこの手法を活用してみてください。

シナリオマッピングの本質は、「すべてを予測する」ことではなく、「不確実な未来に対して柔軟に対応できる思考力を養う」ことにあります。

物事を多面的に捉える習慣を身につけることで、経験やデータがなくても、状況が複雑でも、迅速かつ質の高い意思決定ができるようになるでしょう。

不確実性の高い時代だからこそ、シナリオマッピングを活用して、あなたの決断力を高め、一歩先を行く準備をしてみませんか。

その第一歩として、今直面している課題に対して、今日からシナリオマッピングを試してみることをお勧めします。

※引用の太字は編集部が施した

(参考)

*1 DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|不確実性の時代に有利な立場を築くための思考法

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